北朝鮮による弾道ミサイルの発射が繰り返されています。
ニュースでは「日本海に落下」「日本のEEZ外に落下」「北海道上空を通過」など、さまざまな表
現が使われます。
そこで気になるのが、
北朝鮮は、これまで日本周辺に何発のミサイルを発射したのか?
という疑問です。
結論からいうと、「日本周辺」という範囲には明確な定義がないため、正確な累計を出すことは
できません。
ただし、日本政府が確認した数字を整理すると、北朝鮮が発射した弾道ミサイルなどは累計220発
以上。そのうち、少なくとも19発が日本のEEZ内に落下したとされています。
✅今回の重要ポイント
北朝鮮の弾道ミサイルなどの発射は累計220発以上
すべてが日本近海まで飛んできたわけではない
日本のEEZ内に落下したのは少なくとも19発
EEZ内への落下は通算13回
日本の領土や領海への落下は確認されていない
日本上空を通過して太平洋へ落下した事例もある
「発射された」「日本周辺に落下した」「EEZ内に落下した」は、それぞれ意味が異なる
①日本のEEZ内には少なくとも19発落下
日本政府の発表によると、北朝鮮の弾道ミサイルが日本のEEZ内に落下したのは、2023年6月15日
時点で次の数字となっています。
2023年6月15日には、北朝鮮から発射された少なくとも2発の弾道ミサイルが、石川県・舳倉島の
北北西約250キロの日本海に落下したと推定されました。
この2発を加え、防衛省は「通算13回目、少なくとも19発目」と説明しています。
したがって、政府発表に基づいて答えるなら、
日本のEEZ内に落下した北朝鮮のミサイルは、少なくとも19発
となります。
②EEZとは何か?
EEZとは「排他的経済水域」のことです。
沿岸国が水産資源や海底資源などについて、調査・開発・管理を行う権利を持つ海域で、原則
として海岸から200海里、約370キロまで設定できます。
ただし、EEZは日本の領土や領海そのものではありません。
そのため「EEZ内に落下した」という情報だけで、「日本の領土に着弾した」と考えるのは正確
ではありません。
それでも、漁船や貨物船、航空機などの安全に関わる重大な問題であることに変わりはあり
ません。
③日本周辺には何発落下したのか?
ここで難しいのが「日本周辺」という言葉です。
日本周辺には、次のような海域が含まれる可能性があります。
日本の領海
日本のEEZ
日本海のEEZ外
北海道東方の太平洋
沖縄周辺の東シナ海
日本列島から離れた太平洋
しかし、「日本から何キロ以内を日本周辺とする」という政府の統一基準はありません。
そのため、北朝鮮のミサイルが「日本周辺に何発落下したのか」という公式の累計数字は公
表されていません。
確実に確認できる数字は、EEZ内に落下した少なくとも19発です。
④北朝鮮のミサイル発射は累計220発以上
防衛省資料によると、金正恩政権が発足した2012年から2025年5月までに、北朝鮮は203発の弾
道ミサイルなどを発射しています。
金正日政権時代にも16発が確認されています。
さらに、その後も発射が続いているため、2026年8月現在の累計は220発を超えています。
ただし、220発以上のすべてが日本近海まで飛んできたわけではありません。
短距離弾道ミサイルの多くは、朝鮮半島東岸付近や北朝鮮に近い日本海へ落下しています。
⑤2022年には過去最多の59発
北朝鮮は2022年に、少なくとも59発の弾道ミサイルなどを発射しました。
これは年間の発射数として過去最多です。
2022年3月24日には、ICBM級とみられる弾道ミサイル1発が、北海道・渡島半島の西方約150キ
ロにある日本のEEZ内へ落下しました。
同年11月18日にも、ICBM級弾道ミサイル1発が北海道・渡島大島の西方約200キロの日本海に落
下したと推定されています。
北海道に比較的近い海域へ落下したため、大きな緊張が走りました。
⑥日本上空を通過したミサイルもある
北朝鮮のミサイルには、日本列島の上空を通過して太平洋へ落下したものもあります。
代表的な事例として、次の発射が挙げられます。
1998年:東北地方上空を通過
2009年:東北地方上空を通過
2012年:沖縄県周辺上空を通過
2016年:沖縄県周辺上空を通過
2017年8月29日:北海道上空を通過
2017年9月15日:北海道上空を通過
2022年10月4日:青森県上空を通過
人工衛星の打ち上げを目的としたと北朝鮮が主張したものも含まれますが、いずれも弾道ミサイ
ル技術を使用した発射です。
日本上空を通過しても、日本のEEZ内に落下するとは限りません。北海道上空を通過した後、
日本のEEZよりさらに外側の太平洋へ落下した事例もあります。
⑦日本を狙って発射したのか?
「EEZ内に落下した」という事実と、「日本を狙って攻撃した」ということは分けて考える必要
があります。
日本政府の発表では、一般的に次のような表現が使われています。
北朝鮮から発射された弾道ミサイルが、日本のEEZ内に落下したと推定される
日本を攻撃目標にして発射したことが確認されたという意味ではありません。
北朝鮮は、ミサイルの性能確認、飛翔距離の延長、連続発射能力の向上、軍事的威嚇などを
目的として発射実験を続けているとみられています。
しかし、発射に失敗したり、予定された軌道から外れたりする可能性もあります。
日本海では漁船や貨物船などが航行しているため、意図的な攻撃でなくても重大な事故につな
がる危険があります。
⑧数字を混同しないことが大切
北朝鮮のミサイル問題を考える際は、次の数字を混同しないことが重要です。
「北朝鮮が220発以上発射した」という数字は、220発すべてが日本へ向けて飛んできたとい
う意味ではありません。
一方で、少なくとも19発が日本のEEZ内に落下していることも軽視できない事実です。
まとめ|EEZ内への落下は少なくとも19発
北朝鮮が発射した弾道ミサイルなどの累計は、2026年8月現在で220発を超えています。
ただし、その多くは短距離ミサイルで、北朝鮮に近い朝鮮半島東岸や日本海へ落下しています。
日本に直接関係する数字を整理すると、次のようになります。
✅ 北朝鮮の弾道ミサイルなどの発射は累計220発以上
✅ 日本のEEZ内に落下したのは少なくとも19発
✅ EEZ内への落下は通算13回
✅ 日本上空を通過した事例もある
✅ 日本の領土・領海への落下は確認されていない
「日本周辺に何発落下したのか」という公式の累計はありません。
したがって、現時点で最も正確な表現は、
北朝鮮はこれまで220発以上の弾道ミサイルなどを発射し、その多くが日本海方面へ向け
られた。このうち、少なくとも19発が日本のEEZ内に落下した。
となります。
今後も発射が繰り返される可能性があるため、政府や自治体、報道機関から発表される正確な情
報を確認することが大切です。
※発射数や落下地点は、その後の分析によって修正される場合があります。
